2011年2月19日土曜日

「ゆるく考えよう」と「逃げる中高年、欲望のない若者たち」を読んだ

最近一部界隈で人気?のブロガーちきりんのブログ本「ゆるく考えよう」と、作家の村上龍のエッセイ「逃げる中高年、欲望のない若者たち」を読んだ。この2冊はけっこう読中読後感が似たような印象だった。

ちきりんの本は、人気ブログを加筆修正する形でまとめたもので、タイトルにあるように、人生そんなに気ばらずゆるく考えたらいんじゃないの?というスタンスの本であった。表面上は一事が万事おちゃらけだ調子を装おっているものの、中身に関しては社会派であった。おちゃらけ社会派ブロガーというのが通り名のようではある。内容に関しては、普段からちきりんブログを読んでいるため、あまり目新しくはないものの、とてもおもしろかった。ただ、まとめて読むと、1エントリ1エントリ1の社会派な内容が、やわらかい日本語の書きぶりや「そんじゃーね!」の決めぜりふ、タイトルや装丁により植えつけられたおちゃらけた印象を次第に駆逐していき、読んだあとは、まったくおちゃらけた印象は残らなかった。この本は、ほんとうの意味でおちゃらけた人は手に取らなくて、むしろ中身の通り社会派?の人に手に取られるのではないだろうか。

労働力として見たときに雇用側、また、総体として高齢化していく社会にとっては高齢者の方が若者より従業員にはふさわしいかも、という主張には納得したし、それ以外にも、現代の若者が社会状況的にいかに"アウト"なのかを教えてくれる。このあたり、若者を煽っているんだろうか、と思わずにはいられなかった。ただ、"おちゃらけてまーす"と前置きをしつつ、中身であざむくこのバランス間隔が心地良さ半分いらだち半分である。(おちゃらけないと真面目すぎて読む気がしないかもしれないけど。)

しかし、ブログの過去エントリをいちいちさかのぼるが億劫だったり、オフラインでも読めるという書籍の形は、やはり便利。

一方、村上龍のエッセイの方は、直球で若者を煽っていた。直球なだけにヘラヘラ笑いながら読むことが出来ず、眉をしかめつつ、耳を痛みにたえながら、苦しみつつながら読んだ。ここしばらく、肉食系・草食系のくくりが流行っているが、流行語は目を背けたくなる事実をオブラートに包むためのものという指摘はなるほどである。また、村上龍が犬の散歩に出掛けて群れる飼い主たちを指して、個々の人達はいい人だけど、集団になっているとおあんまり近づきたくない、というようなことを
書いているが、ちょっと分かる。他にも、品格がもてはやされているが、そもそも品格とは何なのだろうかと言いつつ、いったい誰が品格を持ち合わせているのか、という"感覚"はとても共感した。

この本は、はじめは買うつもりのリストに入ってなかったのだけど、そもそもどうして買ったのかと言うと、書店をふらついているときにたまたま帯の「村上龍の挑発エッセイ!」のコピーにつられ、中身をめくり、かっとなって買ったわけだ。つまり、挑発にのせられてしまったという訳である。

包み隠さずはっきり言いたいことを書いていたが、もう少しおちゃらけ成分を付加すると、ちきりん本のようになるんだろうか、、と思った今日この頃である。

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